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M&Aのリスクを徹底解説!売り手・買い手双方のリスクや対処法を解説

M&Aとは「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の頭文字をとった略称で、1つの会社が他の会社を買収し、経営権をとるといったイメージが強くあります。そのため、一般の方の中にはあまりいい印象がない言葉としても知られています。

しかし、広義の意味としては買収、合併だけではなく提携までを含めることもあり、アメリカなどではごく一般的な手法となってきています。日本の場合は一昔前まで、M&Aは有名な大手企業のみの話でしたが、近年は会社規模に関わらず活用しているということも少なくありません。

M&Aでは様々なメリットが得られますが、全てにおいてプラスになることばかりではありません。当然、多くのリスクがあります。この記事で、しっかりとその内容と対処法を把握しておきましょう。


M&Aのリスクは財務リスク・経営リスク・人財リスク・法務リスクの4つ

  • 財務リスク→財務面でのリスクを指し、主となるのが偶発債務簿外債務などになります。

※偶発債務:将来的に発生する恐れのある債務
※簿外責務:賃借対照表上に記載のない責務

  • 経営リスク→その名の通り、経営に関するリスクです。残業代の未払いなど、譲渡前に伝えられなかった場合でもその責任は譲受企業になります。こうした労務管理問題は、後々の大きなリスクに発展する可能性があります。
  • 人財リスク→従業員に関するリスクですが、分かりやすく言えば従業員の離職です。これまでの雇用条件や環境の変化により、従業員が辞めてしまうというケースは少なくありません。
  • 法務リスク→様々な法令は遵守されているか、社内でハラスメント不正な業務などはないかなど、多岐に渡り検討が必要となります。

関連記事:デューデリジェンス(DD)とは?意味からM&Aにおける必要性と実務上のポイントまで完全理解


M&Aに伴うリスクの種類

上記4つのリスクは、売り手・買い手どちらの立場であっても強く意識しておく必要があります。また、譲渡企業、譲受企業双方のリスクは異なりますので、それぞれをしっかりと理解しておきましょう。

さらには、海外企業、個人間のM&Aによるリスクもありますので、それぞれの異なるリスクについても知識として身につけておくといいでしょう。ここでは、上記で紹介した4つのリスクと、それぞれの立場、状況での大きなリスクについて詳しくご紹介致します。


譲渡企業(売り手)のリスク

譲渡企業のリスクで大きいものと言えば、やはり仲介会社選びになるでしょう。M&Aを行う際に、譲受企業を個人的に探すのは非常に困難です。そのため、どうしても仲介会社を頼ることになりますが、情報が少ない、経験が浅いなどの仲介会社も少なくありません。

そういった場合、相手企業が中々見つけられないということになります。そうなると、金銭面だけではなく、M&Aにおいて重要なタイミングを逃してしまう時間的リスクも大きくなってしまうでしょう。

関連記事:【全公開】M&Aのプロが解説するM&A仲介業者の選び方とは・・・?

関連記事:「M&A仲介会社」に支払う報酬手数料の相場はどのくらい?相場や算出方法、仲介会社の報酬体系を徹底紹介!


譲渡企業の債務リスク

特に大きいのが偶発債務リスクが発生した際、事前に譲受企業に何の情報も伝えていない場合は、リスクが生じたことに対して多額の賠償に発展する可能性もあります。


譲渡企業の経営リスク

残業代の未払いや有休消化率が低いなどの問題が発覚した場合、「従業員の把握が出来ていなかった」「部下に全て任せていた」という主張は基本的には通りません。


譲渡企業の人財リスク

M&Aに対する理解が従業員から得ることが困難で、会社の中で重要なポストについていた人財が一気に退職してしまい、M&A後の事業展開が困難になってしまうこともあります。


譲渡企業の法務リスク

取引先との契約内容に不利な条項がある、許認可を取得していないままで運営をしていたなど、譲渡後に発覚すると賠償金の請求をされ、M&A後に訴訟問題などを抱えるケースもあります。


譲受企業(買い手)のリスク

譲受企業が抱えているリスクを把握する前に、契約してしまうという大きなリスクがあります。全てを完璧に洗い出すのは困難ではありますが、譲受後のイレギュラーなトラブルを少しでも少なく、最小限に留めるためには徹底した情報の開示要求や調査を行う必要があります。

先ほども触れたような簿外債務の発覚、残業代の未払いなどがあり、最悪なケースになれば多額の賠償金の支払いが発生してしまう事もあります。全く問題なく成立するM&Aは珍しいですが、徹底した調査や情報開示によってトラブルを未然に防ぐことは十分可能になります。


譲受企業の債務リスク

M&A成立後に簿外債務が発覚した場合、譲渡企業へ責任追及や損害賠償請求などの訴訟問題に発展してしまいます。


譲受企業の経営リスク

昨今多くなっている労務関係のリスクは、非常に深刻です。実際、労働基準法を遵守していない企業も少なくありません。残業代未払い、有給取得率など強く意識して確認する必要があります。


譲受企業の人財リスク

雇用条件の変更により人財が残らず、期待していた相乗効果を見込めなくなることもあります。再度の雇用契約を行う場合、人事への負担が大きく対応に追われるというリスクも発生します。


譲受企業の法務リスク

特に多いのが、取引先と従業員との不正なやり取りです。M&A前から行われているものであっても、責任は経営する譲受企業にあります。

また、脱税や賄賂などといった法律に違反するようなリスクもありますので、必ず徹底した調査が必要です。

関連記事:M&AのPMIとは?成功のポイントや手法、重要性を徹底解説

関連記事:事業承継とは?事業継承との違いや成功させるポイントを解説


海外企業とのM&A(クロスボーダーM&A)におけるリスク

国内企業を相手とするM&Aに比べれば、格段に難易度は上がります。言葉や文化はもちろんのこと、法律、仕事に対する姿勢、商習慣などが全く異なるため、すれ違いやあらぬ誤解が生じやすく、認識の違いなどで大きなトラブルが生じることがあります。

仕事に対する根本的な取り組み方や考え方など、国内企業とは全く異なるため、最初は理解を深めることから始める必要があります。基本的な情報、仕事に対する姿勢、労務管理など、まずは知識を身につけるといいでしょう。また、上手くM&Aが成立しても、その後は高い経営管理能力が問われるため、常に気を引き締めておかなければいけません。


海外企業との債務リスク

海外企業の中には、資金が潤沢な日本企業が買い取り先を探しているという情報を入手し、莫大な債務情報を故意に隠して取引するという悪質なケースもあるため、日本企業でM&Aを行う以上に徹底した調査が必要となります。


海外企業との経営リスク

海外のM&Aでは、思ったように利益が伸びないというリスクがあります。M&Aを海外企業と行う場合、まずは専門チームを立ち上げ、綿密な分析と収益計画を徹底して行う事が重要です。


海外企業との人財リスク

特に注意しなければいけないのが、現地従業員のモチベーションの低下です。日本特有の働き方やスタイルを求めた事により、就労意欲がそがれてしまい、大量離職というケースもあります。


海外企業との法務リスク

現地の法規制、商習慣などをしっかり理解する必要があります。その最たるものが外資規制になります。ここをはっきり把握しておかなければ、処罰の対象や大きな損失を被ることもあります。


個人によるM&A(マイクロM&A)のリスク

個人で行うM&Aには、非常に大きなリスクが伴います。M&Aを行う場合、法律、税金、会計、経営などと言った様々な知識が必須となります。そのどれかが欠けていては、リスク回避することは難しくなるでしょう。たとえ譲渡価格の規模が小さくとも、アドバイザーや専門家の力を借りずに行うのは非常に危険です。

こうしたM&Aのプロに依頼を行う場合は、金銭が発生します。その費用を節約するために、個人で行うという方もいるかもしれません。しかし、大きな損害や賠償金などが発生してしまっては本末転倒です。いらぬトラブルを回避するためにも、個人で行う場合は必ずM&Aのプロに相談するようにして下さい。

関連記事:スモールM&Aとは小規模M&Aのこと?実施の状況と注意点について解説


個人による債務リスク

前経営者との綿密な引継ぎが出来ておらず、会社が背負っている債務についての理解が疎かになってしまうということがあります。その際、多額の債務への対応が出来ずに経営が一気に悪化する事もあるので必ず隅々まで把握しておきましょう。


個人による経営リスク

個人でのM&Aでは、契約成立に満足してしまい、その後の経営がうまく成り立たないということがあります。経営ビジョンを明確にし、買収後の事業計画やビジョンなどを従業員と共有し持続可能な経営展開を行う事で、大きなリスクを避けることが出来ます。


個人による人財リスク

コミュニケーションが取れずに人間関係の構築がうまくいかず、従業員に不満が爆発し、その結果大量退職されてしまうリスクがあります。


個人による法務リスク

個人のM&Aでは、前経営者による不正な手段で経営している、違法行為が隠されていたなどといった不足の事態に対処する事が非常に困難です。

M&A後に発覚する事もあり、契約成立後であればその責任は現経営者である自分自身が負うことになります。


M&Aのリスクマネジメント方法

M&Aを行う場合、様々なリスクと向き合う必要があります。リスクゼロのM&Aは、ハッキリ言って存在しません。M&Aの規模の大きさに限らず、様々な問題は必ずと言っていいほど発生します。

重要になるのが、いかにリスクを最小限に抑えることができるかというリスクマネジメントになります。リスクヘッジとも言われ、M&Aを行う上では必須と言えるプロセスになります。ここで、M&Aのリスクマネジメントの方法をご紹介致します。


デューデリジェンス(DD)

デューデリジェンスという言葉は、M&Aを行った方、実際に検討している段階という方であれば聞いたことがあるのではないでしょうか。このデューデリジェンス、DD経営リスクや財務リスクなどを回避するための必須のプロセスになります。

このDDは、企業の価値や将来的な収益、リスクに関する調査、分析のプロセスを指し、さらに経営環境や事業内容などの様々な観点から徹底した調査を行います。

その内容により、M&Aスキームの検討、譲渡価額調整、リスクに対する対策案などを行っていきます。特に中小企業の場合、事業、財務、法務、税務、人財の5つの観点を重視されており、それぞれの専門家が担当するという形になっています。

DDを実際に行うのは譲受企業が大半ではありますが、だからといって譲渡企業が何もしなくていいということではありません。しっかりと調査や分析に協力する事で、円滑に進めていく事が可能になります。

関連記事:デューデリジェンス(DD)とは何か?意味と種類、進め方と実務上のポイントまで完全理解


PMI(Post Merger Integration)

経営の統合後に関する、リスクマネジメントに欠かせないのがPMIです。M&Aを行うにあたっての相乗効果、社員全員の意識統合など、目的を果たすために欠かすことが出来ないプロセスとなります。売り手側、買い手側の従業員や企業の方向性、文化などを上手く承継できないという場合、従業員の離職が加速し人材の流出と不足に陥ってしまいます。

M&Aでは、多くの場合に成立後、従業員へ情報を開示しますが、短期間での融合は従業員個人への負担が非常に大きくなります。そのため、PMIM&Aの契約成立前にしっかりと準備しておくようにして下さい。

譲受企業は具体的な交渉を行う前に、成立した後の相乗効果などをしっかりと考え、進行がスムーズに進むように綿密な準備が必要です。従業員に対する待遇なども、納得できるよう配慮する必要もあります。また、譲渡企業の経営者がM&A後に退任する予定で会った場合、引継ぎや従業員へのバックアップ、フォローなどを行うために残るということも少なくありません。


敵対的買収に対する防衛策

敵対的買収とは双方納得した上でのM&Aではなく、一方が強引に株式を買付を行う事を指し、納得できていない状況での融合になります。しかし、日本の場合は基本的に友好的な成立が多いですが、こうした敵対的買収に対する防衛策を築くことで、経営リスクを回避することに繋がっていきます。

敵対的買収を避けるためには、まず何よりも企業の価値を高めることが第一です。敵対的買収の対象とされやすい企業というのは、独自技術やノウハウなど高いスキルがあるのにもかかわらず株価が安い企業や、潤沢な資金や資産があるのに活用できていない企業などになります。

そのため、株式の持ち合いや持ち株比率を向上させるなどを図ることで防ぐことができます。さらに、IRを通じて株主との繋がりを強化する事で株価の向上に繋がり、法的、組織的防衛策として非常に有効となります。

関連記事:M&A(合併買収)は株価に影響するのか?上昇・下落事例とメリットデメリットを解説

関連記事:事業売却とは?売却相場・税金・メリット・成功のポイントまで解説


仲介会社とM&Aアドバイザー選びが重要

M&Aは、ただ単に会社と会社が融合するだけではありません。様々なリスクの上に、お互いが納得して契約を行う必要があります。譲渡側、譲受側双方に異なるリスクがありますが、特に譲渡企業はM&Aに不慣れなことが多く、適正価額よりも低い額で譲渡してしまうといったトラブルも起きてしまいます。

そうなってしまえば、株主から訴訟を起こされてしまうというリスクも生じるでしょう。そのため、こうした最悪なケースを避けるためにも専門的な知識を持っているアドバイザーや仲介会社に依頼すると安心です。

M&Aを成功へと導くためには、双方の強みを活かし、弱みを補完し事業展開できる企業をしっかり選ばなければいけません。仲介会社は、豊富な経験から最適な企業を選別してくれます。

M&Aアドバイザーなどのプロと取り組む場合、法律や税金などの専門家と協力体制を取りながらトラブルに見舞われないように進めていってくれます。信頼のおけるアドバイザーであれば、経営者の思いや志を汲みとり、最適なプランを提案してくれるでしょう。双方の企業を対等にし、戦略的提携を行うことで今後の経営をさらに発展させることが可能です。

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