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M&Aハウツー

M&Aのメリット・デメリットを買い手・売り手に分けて徹底解説

社長の高齢化、若年層の減少や価値観の多様化などが原因で後継者不足が深刻化しており、承継者を会社の外部に求める動きが活発化しています。その動きを支えているのがM&A(企業の合併及び買収)です。
M&Aの手法を使うことで、会社は後継者を広く、経営者の子息や親族だけでなく、外部の会社や個人に求めることができます。
しかし、M&Aには利用上のメリットやデメリットがあります。
M&Aに際しては、売り手買い手、双方とも、そのメリット・デメリットを深く理解して交渉や契約に当らねばなりません。
メリットを最大限活かしつつ、デメリットをできるだけ少なくする対応が必要です。この記事では、M&Aに係るメリット・デメリットを詳しく解説し、さらにM&Aで成功するポイントを買い手、売り手の立場から紹介します。


 中小企業がM&Aの可能性を探る背景

2020年度版中小企業白書によると、全国の会社経営者の年齢分布で、40歳代以下の構成比が減る一方、70歳以上の占める割合が年々増加しています。

  画像引用:中小企業庁 2020年版「中小企業白書」 第1部第3章第2節 経営者の高齢化と事業承継 (meti.go.jp)

これは経営者の高齢化が進んでおり、早晩、年齢を理由に引退を迎える経営者が増えることを意味しています。

さらに白書によると、後継者の有無の質問に対して、経営者のうち、60代で約半数、70代は約4割が後継者不在と答えており、後継者がいない企業が多く存在していることが分かります。

また、最近の休廃業・解散件数は年間平均4万件で推移していますが、2013年比でほぼ全ての業種で増加していることから、経営者の高齢化・後継者の不在を考慮すると、さらに休廃業・解散する企業の数は増えていくものと考えます。


画像引用:中小企業庁 2020年版「中小企業白書」 第1部第3章第2節 経営者の高齢化と事業承継 (meti.go.jp)

この実態を放置すれば、現在黒字の企業でも後継者不在を理由に休廃業・解散が進むことが確実であり、企業の貴重な経営資源が失われるばかりか、地域経済が疲弊に陥ることになってしまいます。

一方、依然として中小企業経営者の多くが、子息・親族等への同族承継、内部昇格による事業承継を望んでいるものの、後継者がいないという厳しい現実があり、別の方法を模索せざるを得なくなっています。

そこで、解決方法のひとつが第三者承継の形態であるM&Aの活用です。M&Aを活用することで、外部の会社・組織・個人へ事業承継することが可能になります。

これまでは、大手企業のみで中小企業にはあまり利用されていなかったM&Aですが、上記の理由を背景として中小企業にも事業を引継ぐ手段にM&Aが活用されるようになってきているのです。

参照先:中小企業庁 2020年版「中小企業白書」 第1部第3章第2節 経営者の高齢化と事業承継 (meti.go.jp)

関連記事:スモールM&Aとは小規模M&Aのこと?実施の状況と注意点について解説https://jpmergers.jp/columns/DpJUd6



M&A のメリット

中小企業者のM&Aの背景を理解してもらった上で、以下からはM&Aのメリットを買い手、売り手の順に解説します。

M&Aのメリット

買い手

  • 取引先や店舗数の増加によりビジネス規模の拡大が図れる
  • 新規事業への進出や事業の多角化が容易になる
  • 事業を成長させるための時間短縮ができる
  • 人材や技術力の向上で既存事業が強化できる
  • 買い手及び売り手が一定要件を満たすことで節税対策できる
  • 買収後グローバル展開も可能

売り手

  • 後継者問題を解決して廃業を避けることができる
  • 事業を継続できて従業員の雇用を守りつつ取引先との関係も維持できる
  • うまく売却できれば創業者利益が得られ借入金の個人保証からも解放される
  • 廃業コストが不要になる
  • 大手に売却できれば社員の雇用条件が安定向上する
  • 会社として再起ができて信用力も上がる
  • 不採算部門を他社に売却できれば経営資源の集約化が図れる

買い手のメリット

取引先や店舗数の増加によりビジネス規模の拡大が図れる

買い手のメリットのひとつは、売り手が持つ不動産や設備という有形資産だけでなく、人材、技術、ノウハウ、ブランド、取引先、販売網等の無形資産、いわゆる営業権(のれん)を一手に入れられることです。

少子高齢化で国内市場が縮小している中、競争はさらに激化しています。その環境下で事業拡大するのは簡単ではありません。

しかし、M&Aで一定規模の会社や事業を手にできれば、その事業基盤を活用して自社のビジネスをさらに拡大できます。

事業規模が大きくなると取引量も増して、その信用力で仕入れコストを引き下げたり、設備の稼働率を上げたり、ブランドの力で集客を高めることが可能です。

買収による事業規模の拡大そのものが、M&Aのもたらすメリットなのです。

関連記事: 事業売却とは?売却相場・税金・メリット・成功のポイントまで解説

関連記事: 会社買収の相場はどのくらい?買収の流れや相場からメリット・リスクまで解説!

関連記事: 企業価値とは?時価総額や事業価値との違いや算出方法をわかりやすく解説


新規事業への進出や事業の多角化が容易になる

M&Aで会社や事業を手に入れると、新規事業への進出や事業の多角化が容易になります。

新規で会社を起こして、一から事業を起こそうとすると色々なリスクが伴ってきます。

また、新規事業が成功するという保証もありません。

しかし、M&Aである特定分野ですでに一定の実績を出している会社を手に入れると、起業や新規事業参入に伴う様々なリスクを排除できるとともに、新規事業へ容易に進出できます。

また新規事業に進出できれば、今まで自社が参入しなかった事業分野が手に入るため多角化が可能になり、既存事業の市場が縮小しても、その買収した事業が全体をカバーしてくれて経営が安定します。

さらに、M&Aで手に入れた事業をベースに商流の川上や川下への事業展開も可能になってきます。


事業を成長させるための時間短縮ができる

事業を一から立ち上げ、安定した軌道に乗せるまでには相当の時間とコストがかかります。

事業の成長に必要なマーケティング、製品や技術開発、社員教育などを考えれば、その苦労やかかる費用は並大抵なことではありません。

しかし、M&Aで買い手が必要とする会社や事業が手に入れば、すでに一定の事業の仕組みができあがった状態で手に入るので、事業成長までにかかるコストを引下げられるだけでなく、時間短縮も可能です。

M&Aには、「時間を買う」という他の手法にはない大きなメリットがあるのです。


売り手のメリット


後継者問題を解決して廃業を避けることができる

M&Aで売り手が受ける大きなメリットは、後継者問題を解決し廃業を避けることができる点です。

中小企業経営者の多くは、すでに60歳から70歳代に達しており事業承継は喫緊の課題です。

しかし、同時に諸般の理由から身内に後継者が見当たらない問題に遭遇しており、そのままではたとえ会社が黒字でも経営者は廃業や解散を選択せざるを得なくなります。

会社が廃業・解散や倒産すると、従業員の雇用が維持できないばかりか、取引先や関係先に大きな迷惑をかけてしまいます。

しかし、M&Aで会社や事業を売却・譲渡できれば、心配の種だった後継者問題が片付くとともに、廃業という最悪の選択も避けられます。

関連記事:事業売却とは?売却相場・税金・メリット・成功のポイントまで解説 


事業を継続できて、従業員の雇用を守りつつ取引先との関係も維持できる

次にメリットとしてあげるのが、会社の事業を存続できて、従業員の雇用を守りつつ取引先との関係も維持できる点です。

 売り手の会社が黒字でも赤字でも、後継者問題の解決なしに企業の存続はありえません。

しかし、経営が黒字ならそのまま他社に引き取ってもらえて事業が存続できますし、たとえ会社が赤字でも譲受先さえ見つかれば、従業員の雇用を守りつつ取引先との関係も維持できて迷惑をかけることはありません。

さらに、買い手は売り手より会社の事業規模が大きいか財務内容が良いケースが多いので、経営不振の会社でも引き取ってもらえれば、買い手にテコ入れされることで事業が復活・拡大することもあり、従業員の雇用条件も改善します。

関連記事:子会社売却の方法は?流れやメリット、税金対策や注意点を解説!


うまく売却できれば創業者利益が得られ借入金の個人保証からも解放される

M&Aで会社をうまく売却・譲渡できれば、創業者は売却益から現金が得られるほか、会社借入金の個人保証をしていたときにはその責務から解放されます。

もし創業者利益が多ければ、その資金を老後資金に充てたり、別の事業資金に充てたりすることも可能です。

一方廃業を選択してしまうと、会社の廃業には「解雇する従業員に対する補償費用」「設備在庫などの廃棄処分費用」等のコストがかかり、創業者の取り分が減ってしまいます。

その費用負担が会社の売却・譲渡で避けられるばかりか、むしろプラスになって帰ってくる可能性もあるので、売り手にとってメリットが大きいのです。

以下、あらためて買い手売り手別に、解説しなかった分も含めてM&Aのメリットを詳しくまとめます。


M&Aのメリット

買い手

  • 取引先や店舗数の増加によりビジネス規模の拡大が図れる
  • 新規事業への進出や事業の多角化が容易になる
  • 事業を成長させるための時間短縮ができる
  • 人材や技術力の向上で既存事業が強化できる
  • 買い手及び売り手が一定要件を満たすことで節税対策できる
  • 買収後グローバル展開も可能

売り手

  • 後継者問題を解決して廃業を避けることができる
  • 事業を継続できて、従業員の雇用を守りつつ取引先との関係も維持できる
  • うまく売却できれば創業者利益が得られ借入金の個人保証からも解放される
  • 廃業コストが不要になる
  • 大手に売却できれば社員の雇用条件が安定向上する
  • 会社として再起ができて信用力も上がる
  • 不採算部門を他社に売却できれば経営資源の集約化が図れる

M&Aのデメリット(留意事項)

続けてM&Aのデメリットを買い手、売り手の順に解説します。


M&Aのデメリット

買い手

  • 買収後、想定していた統合作業がうまく進まず、期待していたシナジー効果も出ない
  • 買収後、組織風土が変化したことで双方の社員の離職が頻発した
  • 取引条件が変わったことで取引先の反発を招き契約を打ち切られた
  • 買収後、DDでは発見できなかった簿外債務(※1)が見つかった
  • 偶発債務(※2)が顕在化した
  • 投資以上の利益が出せず買収金額が回収できない

売り手

  • 買い手企業が見つからない
  • 売却できてもまだ借金が残っている
  • 経営不振から採算部門を売り急いだため、売却後さらに経営不安が増した
  • 借金が売却代金で完全に相殺できず経営者が個人保証から解放されない

買い手のデメリット(留意事項)


買収後、想定していた統合作業がうまく進まず、期待していたシナジー効果も出ない

買い手のデメリットとして、買収後に想定していた統合作業(PMI)がうまく行かず、その結果、期待していたシナジー(相乗)効果が充分に出ないことが上げられます。

もともと、企業風土や文化の異なる会社がM&Aで統合しようとするのですから、融合までに時間がかかることは想像できます。

それでも経営者同士、従業員同士が協力して融合に努力すればハードルも乗り越えられるでしょう。

しかし統合に失敗すると、組織間に派閥が生まれて亀裂が走るだけでなく、期待していたシナジー効果も出ないので、利益が生まれるどころか前より減収減益にさえなりかねません。

関連記事:M&AのPMIとは?成功のポイントや手法、重要性を徹底解説


買収後、組織風土が変化したことで双方の社員の離職が頻発した

デメリットの2つ目として、買収後に社風が変化したことで双方の社員の離職が頻発する可能性があることがあげられます。

統合後に労働条件が変化したり、派閥争いや新旧従業員間のいざこざが引き金になったりして、双方の社員に続けて辞められてしまうリスクがあります。

特に売り手側の社員は被害者意識が強いまま入社してくるため、少々の労働条件の悪化にも敏感になっており、すぐに辞めてしまうかも知れませんし、さらに売り手側の社員のうち、事業のキーマンだった社員に辞められてしまったら、期待していたシナジー効果も出せないので投資の意味が半減してしまいます。

買い手側としては、双方の社員の離職が起きないよう十分配慮するとともに、一定期間は労働条件や福利厚生制度の改定には手を付けず、社員相互の親睦や融合を優先する必要があります。


取引条件が変わったことで取引先の反発を招き契約を打ち切られた

買い手がM&Aで受けるデメリットには、取引先に対する影響もございます。

通常M&Aは、買い手が売り手企業や事業の一部を買収して、シナジー効果で事業拡大や利益伸長を図る目的があります。

ところが、買収後に買い手が売り手の取引先に対して、自社の取引先に対する条件を一方的に押しつけたり、契約内容の変更を迫ったりすると、その姿勢に取引先が反発して契約を打ち切ってくることもあります。

このような場合、何のために買収でその取引先を取り込んだか、わからなくなってしまいかねません。さらに、その厳しい仕打ちが既存の買い手取引先にも知れて、不信感からトラブルにも発展しかねません。

買い手は売り手取引先に対して、丁寧に適切なタイミングで取引変更の説明を行なうようにしましょう。

対策として、契約時にチェンジオブコントロール(Change of Control:COC)条項を設定する方法がございます。

チェンジオブコントロール(Change of Control:COC)条項とは、M&Aなどを理由として契約する一方、当事者に支配権(Control)の変更(Change)、つまり経営権の移動が生じた場合、契約内容に何らかの制限がかかったり、他方の当事者によって契約を解除することができたりする規定です。資本拘束条項ともいいいます。

M&Aのプロセスでは、株式譲渡に伴う株主の変更や旧経営陣の辞任に伴う役員の変更などについて、早い段階で少なくとも対象会社にとって重要な取引先との契約について、チェンジ・オブ・コントロール条項の有無を確認することになります。


売り手のデメリット(留意事項)


買い手企業が見つからない

売り手のデメリットのひとつに、希望する買い手がなかなか見つからないというのがあります。

M&Aは会社の売買・譲渡なので、双方の合意で取引が成り立ちます。

いくら売り手が高く買ってもらいたくても、相手が納得しなければM&Aは成立しません。

しかも買収価格の査定の優先権は、売り手側でなく買い手側にあることが多いので、いくら売り手が買取りを高く希望しても、買い手の評価が低ければいつまで経っても取引が進みません。

さらに、買い手側のDD(デューデリジェンス)で簿外債務が見つかってしまうと、一挙に売り手の信用が下がってしまい、M&A自体が破談になってしまうというリスクもあります。

そのようなリスクを負わないためにも、「従業員への賃金の未払い」「顧客とのトラブル」などがあればできるだけ事前に片付けておくとともに、過剰な借入があるなら早めに返済して少しでも企業価値を高める努力をしておきましょう。

関連記事:デューデリジェンス(DD)とは何か?意味と種類、進め方と実務上のポイントまで完全理解

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 売却できてもまだ借金が残っている

仮に、M&Aで買い手が見つかり会社または事業の一部が売却できたとしても、売却代金で負債が完済できず、まだ借金が残ってしまう場合があります。

これでは売り手経営者も完全に引退できず、また、会社の借金に経営者が個人保証していたら、個人の収入から返済を続けねばならないリスクが発生します。

これではまだ会社・事業を売却せず、そのまま経営努力して事業を復活させていく方が借入金も返せて良い選択になるかも知れません。


経営不振から採算部門を売り急いだため、売却後さらに経営不安が増した

M&Aで売り手が受けるデメリットに、経営不振から採算部門を売り急いだ結果、売却後さらに経営不安が増してしまったというのがあります。

一定規模の中堅企業・中小企業の場合、複数の事業部門を持っていることも多いです。

ところが、会社全体の事業不振から資金不足等を補うため、採算が取れている事業部門をM&Aで他社に売り急ぐこともあるでしょう。

それで一時的には会社の問題点は解消されますが、会社の儲け頭を売却してしまったことで不採算部門だけが残り、さらに経営不振の悪循環に陥るということになります。

まさに、M&Aの主旨に反した経済行為となってしまいます。

以下では、あらためて買い手売り手別に、詳しく解説しなかった分も含めてM&Aのデメリットをまとめます。


M&Aのデメリット

買い手

  • 買収後、想定していた統合作業がうまく進まず、期待していたシナジー効果も出ない
  • 買収後、組織風土が変化したことで双方の社員の離職が頻発した
  • 取引条件が変わったことで取引先の反発を招き契約を打ち切られた
  • 買収後、DDでは発見できなかった簿外債務(※1)が見つかった
  • 偶発債務(※2)が顕在化した
  • 投資以上の利益が出せず買収金額が回収できない

売り手

  • 買い手企業が見つからない
  • 売却できてもまだ借金が残っている
  • 経営不振から採算部門を売り急いだため、売却後さらに経営不安が増した
  • 借金が売却代金で完全に相殺できず経営者が個人保証から解放されない

※1簿外債務とは、貸借対照表上に記載されていない債務のこと。代表的な簿外債務には、未払い残業代、退職給給付引当金などがある。

※2偶発債務とは、現実にはまだ発生していないものの、将来一定の条件が成立した場合に発生する債務のこと。事例としては、債務保証、係争中の損害賠償などがある。


M&Aで買い手が成功するためのポイント


M&Aでは買い手はできるだけ失敗を避けることが成功への近道

 買い手がM&Aで最終的に成功するには、M&Aの多くの局面でできるだけ失敗を避けることが肝心です。

M&A取引が成立した時点で、買い手メリットのひとつである「時間短縮」には成功しているので、あとは統合作業でシナジー効果がしっかり出せるよう注力する必要があります。

M&Aで買い手が大きな失敗を避けるためには、とにかくDD(デューデリジェンス)を確実に実行することです。

DDとは、売り手企業の法務・財務・税務・人事・ITから経営全般まで、弁護士・公認会計士等の専門家の助けを借りてあらゆるリスクを洗い出す作業をいいます。

また、DDは正確に買収価格を算定するためにも必要な作業です。

その作業の中で、M&Aの大きなリスクである簿外債務や偶発債務をきちんと把握して、できるだけリスクを引継がないようにすれば、買収後に発生する可能性も最小限に抑えることもできます。

さらには会社買収、合併・分割、事業譲渡など、M&Aにおける適切なスキーム選択、あるいは基本合意書の締結など、M&Aの重要な各場面でもしっかりと地に足を着いた手順を踏むことが大きな失敗を避けるためにも必要です。

これらのチェックポイントを確実に履行していけば、買い手は失敗を避けつつM&Aを成功させることができます。


M&Aで売り手が成功するためのポイント


売り手は準備段階からM&A実施後まで成功するためのポイントが多くある

一方、売り手がM&Aを成功するためにも、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

初期段階では、できるだけ売り時を逃さないよう、M&A仲介者やアドバイザリー、弁護士・公認会計士等の専門家に早めに相談して動き出しておくことです。

その準備段階で、自社の強みや弱み、課題や問題点、売却時の優先順位、譲渡価格など、M&Aにかかる様々な点をチェックしておくと、いざ買い手があらわれても売り時を外すことはないでしよう。

次にM&Aの交渉途上では、売り手買い手の経営者同士が面談を実施、胸襟を開いて話し合い良好な人間関係を構築しておくことが大事です。

そうすれば、たとえ途中で問題が発生しても、トップ同士の信頼関係で切り抜けることもできます。

また、買い手が行なうDD(デューデリジェンス)にも前向きに協力して、できるだけ短期で終えられるよう事前の資料作りもきちんと準備しておきましょう。

そうすれば、買い手からも信用され手続きがスムーズに進みます。

さらに、売り手側の重要取引先や金融機関にも事前にM&Aの事実を知らせて理解と協力を得ておくことが必要です。

さらに、M&A完了後も売り手は売りっぱなしでなく、買い手が十分なシナジー効果が得られるよう協力していくことでより成功の可能性が上がります。

関連記事: 【全公開】M&Aのプロが解説するM&A仲介業者の選び方とは・・・?


M&Aメリットデメリットまとめ

経営者の高齢化や後継者不足を背景に中小企業が行なう、M&Aのメリット及びデメリットを、買い手側、売り手側からそれぞれ詳しく解説しました。

またM&Aを成功させる上で、買い手、売り手が留意したいポイントも詳しく紹介しました。

M&Aは売り手買い手探しから始まり、取引成立、その後の統合作業まで、非常に長い期間を要する地道な作業です。

その間、色々なトラブルにも見舞われますが、売り手買い手双方の信頼感が続いている限り、必ず難局は乗り越えられます。

また、M&Aが成功すれば売り手買い手とも、それぞれ多くの利点を得られるでしょう。

そのためにはまず、取引の当事者がM&Aのメリット・デメリットをしっかり把握しておくことが肝心です。

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