ジョブリターン制度は、離職率が高まる現代の労働市場において、貴重な人材を戻すための有益な手段として、企業によって積極的に導入されています。そこで今回はジョブリターン制度について、導入するメリットやデメリットなどをご紹介します。
目次
1.ジョブリターン制度とは
2.ジョブリターン制度のメリット
3.ジョブリターン制度のデメリット
4.ジョブリターン制度を導入する際の注意点
5.まとめ
1.ジョブリターン制度とは
ジョブリターン制度は、やむを得ない理由により一度退職した従業員やキャリアブレイクを経験した人々が、再び同じ企業や業界に戻ることを支援する制度です。例えば育児や家族の介護、配偶者の転勤、キャリアアップを目指した転職、留学などのやむを得ない理由から退職を選択する人は多くいると考えられますが、このジョブリターン制度ではそういった退職者を本人の希望により再雇用する制度です。企業によっては、再雇用制度やキャリアリターン制度、カムバック制度などとも呼ばれます。従業員の離職率が高まる中で、企業が貴重な経験や専門知識を持つ人材を取り戻す手段として、ジョブリターン制度が注目されています。
2.ジョブリターン制度のメリット
次に、ジョブリターン制度を導入するメリットを4つご紹介します。
①専門知識と経験の活用
ジョブリターン制度は、退職した従業員が持つ専門知識や経験を活かすことができるメリットがあります。再び企業に戻ることで、すぐに業務に復帰できるため、スキルアップの期間を省くことができます。
②ダイバーシティの促進
ジョブリターン制度は、キャリアブレイクを経験した人々や異なる経歴を持つ人々を受け入れることで、ダイバーシティの促進につながります。多様なバックグラウンドを持つ人材の戻りをサポートすることで、企業の組織力やイノベーション力を高めることが期待されます。
③採用コストの削減
ジョブリターン制度により人材を確保することができれば、新たに人材を探す必要がないため採用コストの削減に繋がります。また退職者は社内のノウハウや社内環境に対する理解があり、すぐに業務に復帰できるため、新たに教育をする必要もなく即戦力となりえるでしょう。
④社員からの信頼
一度出産や介護で退職しても再度雇用してもらえる可能性があれば、既存社員も安心してはたらくことができます。社外の人からも退職した人を大切にしている企業と見られるため、企業価値の向上に繋がります。
3.ジョブリターン制度のデメリット
ジョブリターン制度の導入にはメリットもある一方でデメリットもあります。
①既存社員の不満
例えば、一度退職したにも関わらず再雇用されたうえ、以前よりも待遇が良くなっている場合、継続して働いている既存社員は不満を感じるでしょう。社員のモチベーションが低下しないようにするためにも、勤続年数、離職年数などに応じて待遇を明確に設定しておくなど、誰もが納得できるルール作りが重要となります。
②安易な退職の誘発
ジョブリターン制度を取り入れると、仕事を辞めても再雇用してもらえると考え、安易に退職する社員がでる可能性も否定できません。仕事が嫌になったら辞めればいいと考えることは、仕事に対するモチベーション低下に繋がります。
③ワークライフバランスの課題
ジョブリターン制度を利用する場合、復帰後のワークライフバランスの調整が課題となることがあります。特に子育てや家族の介護などを理由に退職した場合、家庭との両立が難しいことも十分考慮する必要があります。
4.ジョブリターン制度を導入する際の注意点
ジョブリターン制度を導入したいと考える企業が注意することをいくつかご紹介します。
・受け入れ体制の整備
ジョブリターン制度を導入する企業は、戻ってきた従業員をスムーズに受け入れるための体制を整備する必要があります。従業員が再び職場に戻ってくる際には、以前働いていた環境や業務とは変化している可能性があるため、十分なサポートを提供することが重要です。アフターケアや再スキルアップのプログラム、従業員同士の交流イベントなどを通じて、従業員の定着を促進しましょう。
・評価と報酬の公平性
ジョブリターン制度によって戻ってきた従業員の評価と報酬について、公平な取り扱いを心掛けることが大切です。過度なハードルを設けることなく、適切な評価と報酬を提供することで従業員のモチベーションを高めることができます。また、デメリットでも述べたように既存社員から不満が出ないように注意することも必要です。
・キャリアとワークライフバランスの調整
職場に戻りたいと希望する従業員が、自身のキャリア目標やワークライフバランスを実現できるような調整を行うことが重要です。フレキシブルな労働時間やリモートワークのオプションを提供することで、従業員のニーズに合わせた働き方をサポートすることが有益と言えるでしょう。
5.まとめ
ジョブリターン制度は、一度退職した従業員やキャリアブレイクを経験した人々が、再び同じ企業や業界に戻ることを支援する制度です。この制度のメリットとして、専門知識と経験の活用、ダイバーシティの促進、そして企業にとってのメリットが挙げられます。一方で、デメリットも存在します。ジョブリターン制度を導入する際には、受け入れ体制の整備、評価と報酬の公平性、キャリアとワークライフバランスの調整が重要なポイントとなります。従業員と企業の双方にとってメリットをもたらす制度となるよう、慎重に導入するようにしましょう。
