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後継者のいない会社を買う具体的な方法を徹底解説!メリットデメリットも解説

後継者のいない会社のM&Aを検討している場合、具体的なメリットやデメリット、正しく買う方法などについて疑問に思う事も多くあるでしょう。いくら条件が良くても、M&Aの本質的な部分を理解していなければM&Aを円滑に行う事は出来ません。

本記事では、メリットやデメリットと共に経営者のいない会社を買う事例、正しく買う方法などを解説します。自社にマッチする最適なM&Aを行いたいと考えている企業、または個人の方にとって必要な情報を詳しくご紹介していますので、ぜひご覧ください。


後継者がいない会社の現状

後継者がいない会社というのは、想像するよりも遥かに多く存在します。2020年には、後継者がいないという理由で倒産を余儀なくされた企業は340件以上となり、前年比1.4倍という数字が出ています。

参照:https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20201208_04.html


日本国内の中小企業の中で、後継者がいない会社というのは全体の55.6%と半数を上回っており、早急な対応を求められています。しかし、後継者育成のノウハウや最適な人材がいない、見つからないといった問題などから解決出来ずにいる会社がほとんどとなります。

参照:https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20191107_01.html


更に、少子高齢化によりどの業種でも人手不足という問題を抱えており、経営者の育成にまで手が回らないというのが現状となっています。

参考記事:中小企業M&Aの流れ・注意点を徹底解説!


個人でも後継者のいない会社を買うことは可能

新型コロナウイルスの影響から、ライフスタイルが変化し時間が出来たという方や、将来の備えのために個人M&Aを行うといった方が急増しています。

M&Aを行う場合、1,000万円以上の資金が必要となることもありますが、小規模の企業であれば300万円~500万円程の資金で可能ということも少なくありません。


数十万円~数百万円でも可能

経営者のいない会社を買う場合、100万円程で買うことが可能となる企業もあります。その多くは従業員数の少ない個人経営のお店で、飲食店や美容室、リサイクルショップなど様々な業種があります。

さらに、Webサイトなどの場合は100万円未満で買えるサイトも多くあります。ある程度集客が出来ているサイトであれば、新しく顧客獲得のための広告などを打ち出す必要がないため、コストを抑えた運用を行う事も可能となるでしょう。

参考記事:スモールM&Aとは小規模M&Aのこと?実施の状況と注意点について解説


後継者がいない会社を買う事例

実際に、後継者がいないという理由をもつ会社を買収した事例をご紹介致します。


サラリーマンが個人M&Aを行い経営者に

金融業界で営業として働いていたサラリーマンが、個人経営の小さなコピーセンターを買い取ったという事例があります。主な客層は大学生などの学生が多く、論文や教材のコピーを大手よりも安く代行するという事業を展開していました。

しかし、経営者の方の体調が悪く病院通いを行うという理由で会社を売却し、1社員としての立場からスタートし経営をサポートしつつ事業継承を行いました。

これまでの経営は黒字を保っており、学生からの人気が高く非常に優良なコピーセンターとして地元ではそれなりに知名度がありました。そういった評価を落とすことの無いよう、これまでの営業経験で培ってきた新規開拓のノウハウを活かしたさらなる顧客獲得戦略を加えることで、会社としても成長を遂げ大きな成功を収めています

(参考元URL:https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4299/index.html


全くの未経験業種へ転身して事業継承

これまで美容業界に携わってきた女性が、今まで経験のない錠前専門店の経営者として事業を継承しました。元々経営者と知人の間柄にあった女性は非常に信頼されており、後継者がいないという問題を解決すべく事業継承の話を持ち掛けられ、契約を交わしました。

M&Aとして何の機関を通さずに行ったため、契約を交わす際には様々な専門家の力を借りた上で事業継承を行い、これまでと変わらずに地元に密着した優良店として錠前専門店は存続しています。

鍵に関する事をまずは覚えなければいけないため、事業継承後1年ほどはとにかくひたすら勉強をし、その後スキルを身につけ鍵職人としての経験を積み重ねていきました。こういった未経験業種の事業継承は実は珍しいことではなく、個人M&Aの場合、多くがこれまでの仕事とは違った業種や憧れを持っていた職種のM&Aを行っています

(参考元URL:https://ab.jcci.or.jp/article/4150/?page=2

関連記事:【経営者必見】今簡単に買い手候補を見つける手段とは?仲介契約・FA契約/プラットフォーム利用時の主なポイントを徹底解説


有村紙工とベルトップのM&A

有村紙工とベルトップは長年の取引実績がありました。ベルトップ経営者の体調が悪くなり後継者がいないといった問題が生じたため、信頼のある有村紙工に白羽の矢が立ちました。

有村紙工は主に段ボールや紙器の製造を行い、ベルトップは引っ越し関連商材を扱う会社で事業内容に関連もあり、営業に関しても問題なく対応が可能となりました。

さらに、有村紙工からベルトップに派遣された所長が30代という若さもあり、当初の想定以上の組織の若返りや取引拡大などが大きく成功し、業績の改善に貢献しました。

(参考元URL:https://br-succeed.jp/content/knowledge/post-2293#chapter-7


後継者のいない会社を買うメリット

  • 新しく事業立ち上げを行うよりも低いリスクで行える
  • 会社が保有するノウハウ、技術や従業員を引き継ぐことが出来る
  • 事業を始めるにあたってのコストを抑えることが出来る

後継者のいない会社を買う際に生じるメリットを事前によく把握しておくことで、そのメリットを更に活かす効率的な方法や、利益を更に得やすくするための対策などを準備することが出来ます。

ここで、上記3つの主なメリットについてご紹介します。


新しく事業立ち上げを行うよりも低いリスクで行える

後継者のいない会社とはいっても、既に事業は完成しています。そのため、買収直後から利益を出すことが可能となるでしょう。また、従業員の多くは0から新しく始めるよりも、今あるものをよりよくしていくような1から10といった作業に慣れている方も多くいます。

長年の経験やスキル、培ってきたノウハウを活かした戦略というのは既存会社だからこその戦略となり、新しく立ち上げた新規の会社にはまず真似は出来ません。

そのため、M&A後のスタートをスムーズに行う事で大きなリスクを回避することが可能となります。一般の方が行う個人M&Aなどでは、新しく会社を興すよりも簡単に売上や利益に繋げることが出来るため、経営に関しての手腕を徐々に高めていき、学びながら最適な方向性を定めていく事も可能となります。


会社が保有するノウハウ、技術や従業員などを引き継ぐことが出来る

買収する会社が後継者がいないという問題を抱えていたとしても、その会社が所有する様々なノウハウや知財、貴重な人材などは全て引き継ぐことが出来ます。

新しく0から事業を立ち上げるといった場合、全てを完璧に準備するためには莫大な費用と時間がかかってしまいます。例え数百万単位の買収資金が必要であっても、会社の資産をそのまま引き継ぐことが出来るのは、後継者のいない会社とのM&Aにおいて大きなメリットと言えるでしょう。

また、中小企業や個人経営のお店の場合、中には非常に優れたスキルを有している人材がいるということも少なくないでしょう。新しく経営に携わる外部の人間だからこそ、そうしたスキルやノウハウをうまく活用するべきで、新しい戦略なども立てやすくなります。

関連記事:M&Aのメリット・デメリットを買い手・売り手に分けて徹底解説

事業を始めるにあたってのコストを抑えることが出来る

仮に新しく事業を立ち上げるという場合、場所の確保や設備の準備など、多くのコストが必要となります。しかし、こうした初期費用の投資が必要なく、従業員の育成や新たな雇用といった必要性もありません。

もちろん、M&Aを行うための買収費用は必須ではありますが、事業をスタートさせるための初期投資はほとんどかかることはないと言えます。

そのため、買収費用に多く資金を投じることができ、多少値段が張る企業であってもM&Aを視野に入れることが出来ます。個人M&Aの場合、資金が足りずにチャレンジしたい企業や、ぜひ買収したいと考えている企業があっても手が出せないということもあります。

しかし、後継者のいない会社を買うことでこうしたコストを大きく抑えることが可能となり、希望に見合ったベストマッチの会社とのM&Aを実現させることが出来るでしょう。


後継者のいない会社を買うデメリット

  • 「簿外帳簿」により債務を負うリスクに要注意
  • 従業員の離職や取引先との関係の変化

後継者のいない会社を買う場合、当然デメリットも生じます。メリットを事前に把握しておくことも重要ですが、まずはこのデメリットに対する理解をしっかりと深めておきましょう。

特に重要となる上記2つのデメリットについて、詳しくご紹介します。


「簿外債務」の存在に要注意

簿外債務とは、貸借対照表に計上されていない債務の事で、これは後継者のいない会社のみに関わらず、全てのM&Aにおいて注意深く調査しなければいけない重要な項目と言えます。

買収する予定の後継者のいない会社が銀行から借り入れしているにも関わらず、それが何らかの理由で貸借対照表に乗っていない状態だとします。その場合、買収前に確認する貸借対照表に借入金が計上されてないのですが、借入金自体は正当であるため借入金の返済義務は当然発生します。

M&Aを行ってからこの簿外帳簿の存在を知ったとしても、経営権は渡っているため支払い義務はこちらにあります。知らなかったで済ませることは出来ません。


さらに、会社が他企業や誰かの連帯保証人になっているということもあります。こうしたケースの多くは、廃業する会社に多いのが特徴です。買収費用は安く、一見お得に見えますが、裏ではこうしたトラブルを抱えているということは少なくありません。

他にも簿外債務となりやすいパターンとしてよくあるケースが「退職金」「リース債務」「貸倒引当金」などが事例としてございます。

後々に明るみになり焦って処理を行うという事の無いように、M&Aを行う前に専門家に依頼をし、デューデリジェンスを行うようにして下さい。

この依頼により費用は発生しますが、後から簿外帳簿が発覚し多額の損失を受けてしまうよりはいいでしょう。買収金額が安いからと徹底した調査をせず安易に買うことのないように、頼るべき部分は専門家にサポートをお願いして後悔のないようにしてください。

関連記事:デューデリジェンス(DD)とは?意味からM&Aにおける必要性と実務上のポイントまで完全理解


従業員の離職や取引先との関係の変化

従業員の立場からすると、経営者の交代というのは非常に大きな事案と言えます。小さな規模の会社の中には、先代の経営者だからこそ継続して働いていたという方も少なくはないでしょう。

そのため、何の前触れもなくいきなり経営者が変わるとなると従業員は困惑してしまいますし、そのまま離職してしまうということも多くあります。

必ず買収前に会社に赴き、従業員と密なコミュニケーションを取り、今後の経営に関する方向性を示すようにしてください。また、従業員の中には経営者が自身より若い年代になる場合、それだけで反発する事もあります。未経験者であればなおさら、不信感や嫌悪感を抱かれてしまうでしょう。


こうした問題を未然に防ぐためは、経営陣だけに留まらず、従業員一人一人に対して真摯な対応をとることが重要です。M&Aを成功させるためにも、相手に対する配慮を忘れてはいけません。

さらに、これは従業員だけではなく会社との取引関係にある企業にも同じことが言えます。今後の関係をよりよくしていくためにも、経営者が変わるということ、今後の方針などを明確にする必要があります。

従業員、取引先共に、安心感と信頼を得るためにはしっかりとコミュニケーションを取り、これからの会社としての道筋を整えて経営する人間として的確に示すことが求められます。


後継者のいない会社を買う方法

後継者のいない会社を買う方法は、大きく分けて3つのパターンに分かれます。それぞれの特徴を正しく理解し、M&Aを成功させるために最適な方法を見つけてください。


M&Aマッチングサービスを利用する

M&Aのマッチングサービスとは、企業を買いたい・売りたい会社それぞれがサイトに登録し、求める条件の会社を気軽に探し出すことが出来ます。地域や業種、企業規模など様々あり、無料で登録することが可能なサービスもあります。

多くのM&Aマッチングサービスでは、売り手側が興味を持ってくれれば具体的な話を進めることが可能となり、契約の成立まで専門家による手厚いサポートを受けられるサイトもあります。

売り手側が興味を示してくれなければ、商談までいくことはできません。判断基準となるのはやはり登録情報ですので、充実性はもちろん、熱意やM&Aに対する想いをしっかりと記しておきましょう。

関連記事:【徹底解説】M&A専門業者(仲介業者/FA/プラットフォーム)その正体とは?M&Aのプロがメリット、デメリットを教えます!


M&A仲介業者やFA

M&Aの仲介会社やFAに相談し、条件の見合った企業とのM&Aを行う方法もあります。仲介会社は売り手と買い手の間に入るため、どちらか一方の利益を追求するということはありません。

中立的立場で交渉を行っていくといった特徴がありますが、FAの場合は仲介会社とは異なり、売り手買い手それぞれに担当FAをつけて交渉を進めていきます。

そのため、この2つはM&Aの交渉を行うという点では共通ですが、それぞれの立場が異なりますので、依頼を行う際はどちらがより良いかを比較してしっかり検討する必要があります。

また、仲介会社やFAは売却、もしくは買取価格が数千万円以上の案件の扱いが非常に多いため、個人M&Aは受け付けてくれないケースもあります。


事業承継・引継ぎ支援センターを活用する

事業継承・引継ぎ支援センターとは、後継者がいない、又はまだ後継者が定まっていないといった小規模の事業者と後継者候補とを繋げてくれる公的機関になります。登録は無料で、誰でも行う事が可能となっています。

47都道府県に設置されており、基本は管轄する地域での支援を受けるという形になります。ただ双方を繋げるだけではなく、専門家による課題解決のためのサポートや助言などを受けることも可能となります。

しかし、このセンターを利用する場合は本気でM&Aを考えているといった熱意が問われますので、まだM&Aを行うかどうか迷っているという段階の場合は、マッチングサービスでとどまっておくほうがいいでしょう。


https://shoukei.smrj.go.jp/

上記リンクが事業継承・引継ぎ支援センターですので、まずはお住まいの地域をよくチェックしておきましょう。

関連記事:【全公開】M&Aのプロが解説するM&A仲介業者の選び方とは・・・?


後継者のいない会社を買うための事前準備

後継者のいない会社を買うために、まずは徹底した準備を行いましょう。M&Aは、思い付きで行えるような簡単なものでは決してありません。まず、M&Aを行う対象企業を選定します。その後経営陣と面談を行い、「財務諸表分析」などを実施し具体的に検討を進めていきます。

交渉や面談は、専門家のサポートが必須となりますが、当然相談料や着手金、デューデリジェンスなど多額の依頼料が必要となります。仲介業者を利用する場合、数百万円という費用が発生する場合もありますので、費用の準備も行う必要があります。

仮に費用負担を避けたいという場合、もちろん自分自身で行う事も可能です。そのためには、M&Aに関する知識をしっかりと身につけておかなければいけません。費用がかかっても契約成立まで全面的にサポートしてくれるパートナーを見つけるか、とにかく勉強し知識を身につけ自身で行うかをしっかりと考えておきましょう。


後継者のいない会社を買う方法まとめ

事業の新規立ち上げよりもコストを抑えることが可能で、長年にわたり培ってきたノウハウやスキルを最大限活かすことが出来る「後継者のいない会社を買う」というM&Aは、今、将来のための新しい投資方法として多くの方が注目しています。

しかし、後継者のいない会社を買うということは簡単なことではありません。資金の準備や契約に至るまでの様々なプロセスがあり、一筋縄ではいかないということも多くあるでしょう。

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