求人票を提示し、それを見た求職者からの応募を待つという従来の採用方法では優秀な人材の獲得は難しくなっています。そんな状況で注目されている「採用ブランディング」をご紹介します。本記事では採用ブランディングが注目されている背景やメリット、進め方について解説していきます。
目次
1.採用ブランディングとは
2.注目されている背景
3.採用ブランディングのメリット
4.設計方法
5.まとめ
1.採用ブランディングとは
採用ブランディングとは採用力を強化するために自社をブランド化することです。求職者に対して自社の企業価値や理念、将来のビジョン、社風、入社するメリット等を発信し、自社への入社意欲を高めます。しかし採用ブランディングは採用HPや広告を作ることではありません。自社にマッチした人材に長期的に活躍してもらい続けるために他者との差別化を図る必要があります。
2.注目されている背景
多くの企業が取り入れている採用ブランディングが注目されるようになった背景から解説していきます。
・人手不足
少子高齢化により労働人口が減少し、有効求人倍率は増加しています。特に即戦力となる優秀層の獲得競争は激化しています。売り手市場へと採用が変化する中で従来の手法では人材の獲得が困難になっています。売り手市場の中で求職者から選ばれるには他の会社にはない魅力があることを発信して差別化することが求められます。そこで採用ブランディングが注目されています。
・SNSの普及
採用が売り手市場に変化していったことが大きな要因ではありますが、それだけではありません。もう一つはSNSの普及です。広告予算が少ない会社でも手軽に情報発信ができるようになりました。一方で求職者も多くの情報に触れることができるようになりました。多くの情報の中から自社を選んでもらうためには、ターゲットに対して有益な情報や魅力を届けていく必要があります。
3.採用ブランディングのメリット
人手不足やSNSの普及により注目されるようになった採用ブランディングの4つのメリットをご紹介します。
・認知度の向上
1つ目のメリットが企業の認知度の向上です。企業から積極的に情報を発信することで転職潜在層へのアピールもできます。採用ブランディングによって認知度の向上を図ることで、将来的な就職先としての候補にも上がりやすくなります。認知度の向上は採用だけでなく、顧客へのアピールも同時に行うことが可能です。
・母集団の形成
2つ目は母集団の形成です。求職者が転職を検討する際には雇用条件で比較するのが一般的です。採用ブランディングが充分ではない企業が募集を開始しても、知名度の高い企業と競争して勝つのは難しいです。
採用ブランディングが成功していれば雇用条件はもちろんですが、それ以外の部分で差別化を図ることができます。魅力を認知してもらいやすい状況を作ることによって、自社にマッチした求職者を多く集めることができます。
・定着率の向上
採用ブランディングを行うことで、自社の社風や理念を理解したうえでの応募が増えます。これにより入社後のミスマッチが減り定着率の向上を図ることができます。また魅力を発信することで従業員がやりがいを感じることも増えるため、より定着率の向上に期待ができます。
・採用コスト削減
母集団の形成や定着率の向上は採用コストの削減に繋がります。企業からの認知が増えることで自発的な応募数が増えることや、リファラル、ダイレクトリクルーティングでの獲得率アップに繋がります。応募が増え、短期間で人材を確保することで採用コストを削減することができます。また定着率が向上することで、教育にかかる時間やコストも減らすことが可能になります。
4.採用ブランディングの流れ
多くのメリットがある採用ブランディングですが、設計する際には押さえるべきポイントがあります。ステップごとにポイントを解説していきます。
①ターゲットを明確にする
採用活動を行う際には母集団の形成をすることが大切ですが、その際にターゲットが明確になっていないと、伝える魅力と伝える相手が絞り込めません。そのため採用ブランディングの第一歩はターゲットを明確にすることだと言えます。スキルや経験だけではなく具体的な人物像まで設定することが大切です。
②コンセプトを定める
採用におけるコンセプトとは、採用活動の基本方針のことです。コンセプトを設定することでメッセージに一貫性を持たせることができます。コンセプトを設定するためには3つの軸から整理する必要があります。
1つ目は企業の軸です。事業内容やサービスなど競合他社とは異なる優位性を整理していきます。
2つ目は仕事の軸です。募集する人材に求める業務内容や経験スキルについて整理していきます。
3つ目は環境の軸です。
企業理念や社風、給与、福利厚生などがあげられます。特にワークライフバランスを重視している求職者が多いため、残業や年間休日などの面からアプローチしていくのがおすすめです。
③発信手段を決定する
ターゲットとコンセプトを設定したら発信手段を選定する必要があります。採用ブログやSNS、自社の採用ページなど様々な手段が存在しますが、それぞれアプローチしやすい層は異なります。そのため自社のターゲットやコンセプトに合わせてマッチした情報発信手段を選ぶ必要があります。
また、採用ブランディングは一度やったら終わりではなく継続して取り組む必要があります。成果を数字で把握していくことやPDCAを回していくことも重要です。
5. まとめ
近年注目されている採用ブランディングのメリットや設定方法について解説しました。採用ブランディングは短期間で結果が出るものではないため、継続的に取り組む必要があります。また採用担当のみで行うものではなく、経営者、従業員全体を巻き込み自社の魅力を確立し、発信することを意識して取り組んでください。