「ブラインド採用」という単語を聞いたことがあるでしょうか。多様性やグローバル化が重視されつつある現代において、ブラインド採用は注目を集めています。そこで今回はブラインド採用について、メリット・デメリットを含めて詳しく解説します。
目次
1.ブラインド採用とは
2.ブラインド採用が注目されている背景
3.ブラインド採用のメリット
4.ブラインド採用のデメリット
5.ブラインド採用を導入する際の注意点
6.まとめ
1.ブラインド採用とは
ブラインド採用とは、応募者の学歴、性別、年齢、出身地、民族、宗教など、特定の背景情報を意図的に見ないで採用を進める採用方法です。この手法は、個人の実力や経験のみを重視し、無関係な情報による偏見を排除することを目的としています。
具体的には、履歴書や職務経歴書から名前や学歴などの情報を隠す、もしくは取り除く方法が一般的です。一部の企業では、初めの段階での選考テストをブラインド(匿名)で行ったり、面接時にも特定の背景情報に関する質問を避けたりすることでブラインド採用を実現しています。
2.ブラインド採用が注目されている背景
近年、企業の多くが「多様性」の重要性を認識し始めています。多様性がビジネスの競争力を高める鍵とされているのです。多様な背景を持つ従業員が増えることで、新しい視点やアイデアが生まれ、組織の競争力が向上するとの認識が広がっています。しかし従来の採用方法では、無意識に偏見が働きやすく、多様性の実現が難しいという問題が指摘されてきました。これに対して、ブラインド採用は偏見を排除する効果的な手段として注目されています。
3.ブラインド採用のメリット
次にブラインド採用のメリットを3つご紹介します。
①公平性の確保
すべての応募者が平等な条件で評価されるため、能力と経験を正当に評価でき採用することができます。従来の採用方法では、応募者の学歴、性別、年齢など個人情報によって、能力と経験はあるがそういった個人情報により採用対象から外れてしまう人がいました。したがって個人情報の排除は採用において公平性の確保ができます。
②多様性の促進
さまざまな背景や経験を持つ人材が採用されやすくなり、企業の多様性が向上します。多様な価値観や経験を持つ従業員が増えることで新しいアイデアが生まれ、事業の発展にも繋がります。
③品質の向上
偏見から解放された採用が、より適切な人材の確保につながる可能性があります。能力や職歴で評価することができるため、偏見や思い込みがなく自社が求める人材を採用できるでしょう。
4.ブラインド採用のデメリット
ブラインド採用には大きなメリットがあるように見えますが、一方でデメリットも存在します。
①情報不足のリスク
一部の情報を排除することで、採用の判断材料が不足する可能性があります。そのため採用に時間がかかってしまったり、年齢や性別を見ずに採用することで社内の年齢層や性別のバランスが大きく偏ってしまったりする場合があります。
②適切な評価ツールの欠如
伝統的な履歴書や面接に頼らない採用手法を導入する際、適切な評価ツールの開発や選定が課題となることがあります。どのような方法でブラインド採用を導入するかをしっかりと検討する必要があるでしょう。
③社員同士の衝突
従来の採用方法で入社した社員とブラインド採用で入社した社員との間で衝突が起きる可能性があります。ブラインド採用で入社した社員は、新しいアイデアや仕事のやり方、考え方をもっている場合が多いです。そのため、既存社員が今まで行ってきたやり方や考え方とぶつかってしまうことがあります。既存社員とブラインド採用で入社した社員も、お互いの考え方を尊重していく姿勢が必要です。
5.ブラインド採用を導入する際の注意点
採用方法を変えることは容易ではありませんが、ブラインド採用の導入を検討するのであれば以下の3点に注意し、導入を検討する際には組織全体でのコミュニケーションや理解を深める努力が必要となります。
・目的の明確化
ブラインド採用の目的や意義を明確にし、組織全体で共有することが重要です。デメリット③で記載したような社員間での衝突の可能性を低めるためにも、ブラインド採用については祖式全体で共有したほうがいいでしょう。
・評価基準の設定
どの情報を排除し、どの情報を基に評価するのかを明確に設定し、徹底することが必要です。デメリット①で記載したように、年齢や性別のバランスを調整する必要がある場合は採用選考において評価する項目を増やすなどをして対策をしたほうがいいでしょう。
・継続的な見直し
ブラインド採用の方法や評価基準は、時代や組織のニーズに応じて継続的に見直すことが求められます。
6. まとめ
ブラインド採用は、公平で多様性のある採用を実現する有望な手法として注目されています。そのメリットを最大限に活かしながら、デメリットや課題を適切に対処することで、真に公平で効果的な採用が可能となるでしょう。組織全体での理解と協力が求められる中、ブラインド採用を正しく導入し運用することで、企業や組織は新たな人材の可能性に目を向け、更なる成長を遂げることが期待されます。