Decillion Capital株式会社 | 創業からIPO・M&Aまでハンズオン支援型金融コンサルティング

採用ハウツー

MBOとは?導入のメリットとデメリット

近年、注目を集めているMBOについてご存じでしょうか。注目を集めている背景や目標管理におけるポイントについてまとめてみました。

目次

1.MBOとは
2.MBOが注目されている背景
3.MBOのメリット
4.デメリットとその解決方法
5.効率的な運用方法
6.まとめ


1.MBOとは

MBOとはManagement by Objectivesの略で1954年に経営学者のピーター・ドラッカーによって提唱されました。組織の目標達成に焦点を当てたマネジメント手法です。ただしMBOは会社は上司の命令ではなく社員が自ら目標を決めるという特徴があります。

このMBOには重要なポイントが2つあります。1つ目は前述のとおり目標は社員が自分で設定するという点です。会社や組織が与えた目標ではただのノルマになってしまいます。社員の自主性や成長意欲を重要視しています。2つ目は社員が定める目標が会社の目標とマッチしているという点です。目標自体は社員が自主的に決めるべきですが、会社の方向性や考え方を理解した目標でないと組織の成長に繋がりません。


2.MBOが注目されている背景

1954年にピーター・ドラッカーによって提唱され、1960年代にはアメリカの企業で導入されていきました。導入とともにマネジメント手法というより人事評価制度としての意味合いが強くなっていきました。

日本に導入されたのはバブル経済が崩壊した1990年代です。当時の日本での人事評価は終身雇用と年功序列を前提とする「職能資格制度」が採用されていました。この制度では「若くて実績のある社員」より「勤続年数の長い社員」のほうが評価が高くなります。しかしバブル経済の崩壊にともない、社員のパフォーマンスと関係なく膨らみ続ける人件費をおさえるために注目されたのがMBOです。また、コロナ禍に見舞われた2020年から現在までもMBOが再注目されています。


3.MBOのメリット

日本でも多くの企業が導入しているMBOのメリットについてまとめました。

①人事評価がしやすくなる

MBOでは目標を数値で設定するため達成できたこと、達成できなかったことの判断がしやすくなります。また目標に対して何%足りなかったのかもわかりやすいため来期に向けての目標設定もしやすくなります。

②社員の能力向上

自分の限界より少し高い目標を設定することが多いため、目標達成に向けて努力することで自然と能力が向上します。上司の命令ではなく自身で目標管理をすることで、目標達成に向けたスキルアップや業務効率化などセルフマネジメントのスキルも向上します。

③モチベーション向上

前述の通り人事評価がしやすくなるため、業績が昇給、昇格に反映されるため社員のモチベーションアップにも繋がります。またMBOでは命令ではなく自身が掲げた目標のため、やらされている感が少なく自発的な行動に結びつきます。

④組織目標との連動

社員が立てる目標は組織の目標と連動しているため、個人が目標達成のために行動することで最終的には組織の向上に繋がります。


4.MBOのデメリットとその解消方法

MBOのメリットを複数挙げましたがデメリットも多数あります。デメリットと解消方法をまとめました。

①管理職の負担が大きくなる

MBOでは目標設定と評価の際に管理職がフィードバックを行います。目標設定の際には組織の目標との関連性はあるか、達成可能な目標か、目標の難易度が低すぎないかをチェックします。評価の際には達成できた項目の確認、達成度合い、次回達成するためにはどうすればいいのか、次回はどれぐらい目標を上げるのかをチェックします。マネジメント人数が増えれば増えるほど負担と責任が大きくなるため、組織が管理職への肉体的、精神的プレッシャーを考慮しなくてはいけません。

②自由な目標設定はできない

MBOは社員が自身で目標設定をしますが、自由に設定してよいわけではありません。社員が立てる目標は組織の目標と連動していなければならないためです。普段から組織の理念や目標を社員に共有しておくことや、管理職からのフィードバックが重要になります。

③目標を低めに設定してしまう

社員が自身の目標を立てる際に、達成しやすいように低い目標を立てるようになりがちです。人事評価に連動することから目標達成を強く意識しすぎてしまいます。組織や管理職は人事評価だけではなく、社員の能力向上、組織力向上に繋がるという点を忘れずにフィードバックを行う必要があります。

④目標以外の業務に対するモチベーションの低下

こちらも目標達成を強く意識することで陥りやすくなります。社員が目標達成を意識しすぎることで、それ以外の業務に時間を使わなくなり業務が円滑に進まなくなってしまいます。組織や管理職からのフィードバックやその他業務に関する評価点を作るなどの対策の他にMBOを導入する意味合いなどを社員に共有するのも対策の一つになります。


5.効率的な運用方法

有効に導入すれば様々なメリットがあるMBOですが、導入から運用までステップをご紹介します。

①組織の目標を設定し社員に共有する

MBO導入の一番の目標は企業の業績向上です。それをもとに企業目標を設定し、社員に共有することが一番最初のステップです。この段階を怠ると社員は適切な目標設定ができなくなります。

②社員が目標を設定する

組織目標をもとに連動している個人の目標を設定します。設定して終わりではなく必ず、上司や組織からのフィードバックをもらうことが重要です。組織目標とのズレがないか、目標達成を意識するあまり低すぎる目標になっていないかなどのチェックに加え、曖昧な目標になっていないかもチェックしましょう。達成度合いがわかりやすいように数字で設定するべきです。

③計画を実行する

目標を設定し、動き出したからといって放置して良いわけではありません。このペースで達成できるか考えるセルフマネジメントや上司からの助言が大事です。このステップを疎かにすると目標と全く違う方向に進んでしまったり、全く目標が達成できないなど重大な失敗に繋がってしまいます。

④上司と状況を振り返り評価する

人事評価の際には自己評価をしたうえで上司と状況を振り返りましょう。まずは自己評価を行うことでセルフマネジメント能力も向上させましょう。上司や組織からのフィードバックを行うことで自己評価とのずれも見直します。評価の際には達成できたこと、達成できなかったことを数値化することで達成率を明確にし、来季の目標設定についても考えましょう。


6.まとめ

日本企業の多くで導入されているMBOのメリット、デメリットについてまとめてみました。バブル経済が崩壊したのを期に導入が進んだMBOですが、コロナ禍に見舞われている現在も再注目されています。改めて組織の管理方法を見直してみる機会にしてください。

最近の記事

PAGE TOP